処方ができる栄養剤の種類と特徴

こんにちは、まるクリニックです。

近年普及・浸透している医薬品の栄養剤についてまとめています。

ドラッグストアや通販で購入できる栄養剤についての情報はたくさんありますが、処方ができる栄養剤についてまとめているサイトは非常に少ないです。

メーカーが違うことや、情報が少ない事が原因と考えられます。

今回は、訪問診療でよく使用される「処方ができる栄養剤の種類と特徴」について解説しています。

目次

処方ができる栄養剤の種類と特徴

まずは大まかに一覧でまとめます。

スクロールできます
製品名エンシュアリキッドエンシュアHエネーボイノラスラコールエレンタールアミノレバンEN配合散
販売会社アボットアボットアボットイーエヌ大塚イーエヌ大塚EAファーマ大塚製薬
容量250ml250ml250ml187.5ml200ml80g/袋50g/袋
カロリー250kcal375kcal300kcal300kcal200kcal300kcal213kcal
バニラ
コーヒー
ストロベリー
バニラ
コーヒー
バナナ
黒糖
メロン
ストロベリー
抹茶
バニラヨーグルト
りんご
コーヒー
いちご
バナナ
コーヒー
コーン
抹茶
トマト
オレンジ
パイナップル
青りんご
コーヒー
ヨーグルト
グレープフルーツ

マンゴー
コンソメ
フルーツ
コーヒー
栄養剤の比較(経口のみ)

画像引用

アボット:https://www.abbott.co.jp/
大塚製薬:https://www.otsukakj.jp/med_nutrition/dikj/menu1/hoso/000938.php
イーエヌ大塚:https://www.enotsuka.co.jp/services/medical.html
EAファーマ:https://www.eapharma.co.jp/

これらは全て「口から摂る栄養剤」です。他にも処方ができる栄養剤はありますが、これらが訪問診療の現場ではよく使われます。

エンシュアリキッド

食事ができないときや消化吸収が弱いときに第一選択となる般的な栄養剤です。

  • たんぱく質
  • 脂質
  • 炭水化物
  • ビタミン
  • ミネラル

など、体に必要な栄養素がバランスよく配合されています。

腸から直接吸収されるように調整されているため、専門的には「経腸栄養剤」と呼ばれます。

牛乳に含まれるたんぱく質にアレルギーのある人は使用できません。

これは、牛乳由来のタンパク質であるカゼインを含んでいるためです。

重度の腎臓病、肝臓病、腸閉塞など、病状によっては使用できない場合があります。

高熱、意識障害、重度の脱水症状、急性膵炎の場合は、慎重に使用する必要があります。

糖尿病の患者は、血糖値の変動に注意する必要があります。

エンシュアH

エンシュアよりも高濃度で高カロリー(1.5kcal/mL)に作られているのがエンシュアHです。

水分制限のある方や、たくさんの量を飲めない場合にも適しています。

エンシュアよりも味の種類が豊富なため、飽きずに飲むことが可能です。

エネーボ

エネーボは、一般的に術後の栄養維持、特に経口食摂取が困難な場合の長期栄養に使用されます。

タンパク質やBCAA(バリン、ロイシン、イソロイシン)を強化し、経腸栄養では初めて、セレン、カルニチン、フラボオリゴ糖、クロム、モリブデン、タウリンを配合した製品となっています。

イノラス

イノラスは、同じ大塚製薬から販売されているラコールNF経腸液の三大栄養素(タンパク質、脂質、糖質)の組成をベースにした栄養剤です。

一般に栄養剤を必要とする患者さんは活動量が少なく、経口摂取も大変な事も多い為、少量で高カロリーであれば誤嚥のリスクも軽減できます。

イノラスは3袋(187.5mL×3=562.5mL)で900kcalのエネルギー、ビタミン、微量元素を摂取でき、エネルギー需要の大部分を満たすように製剤化されています。

単位容量あたりのカロリーはエンシュアリキッド、ラコール、エネーボなどの既存製品と比べても高く、同じカロリーをより少量で摂取することが可能です。

また、薬局に取りに行った際の運搬や保管も楽です。

ラコール

植物性タンパク質(大豆由来)を多く含み、牛乳の成分であるタンパク質も含まれています。

脂質はn-3系脂肪酸とn-6系脂肪酸を1:3の割合で配合し、n-3系脂肪酸(α-リノレン酸)を多く含むシソ油を含んでいます。

現在、脂肪の種類によって腸の刺激や炎症を抑える効果が異なるとされていますが、ラコールは刺激をできるだけ抑えながら必要な脂肪を摂取できるように設計されています。

エレンタール

原料が消化を必要としないため、摂取した栄養素のほとんどが吸収されます。

食事では摂取しにくいBCAAやグルタミンなどの特殊なアミノ酸もバランスよく摂取できます。

消化を必要としない栄養素で構成されているため、胃の中に長くとどまらず、腸から速やかに排出されます。低脂肪で食物繊維がゼロのため、術後の胃に負担をかけません。

また、栄養剤のなかでは最もフレーバーが豊富であり、栄養剤の甘さが苦手な方にも選択肢の一つとなります。

アミノレバン

アミノレバンEN配合は、アンモニアを無毒化し、タンパク質を合成するBCAA(分岐鎖アミノ酸)を主成分とした総合栄養剤です。

肝臓食品と併用することで、体重1kgあたり1.3gのタンパク質を補給しながら、肝硬変のタンパク質代謝改善に貢献します。

また、不足しがちな炭水化物、脂質、ビタミン類、微量元素を含んでいます。

食事だけでは不足するこれらの栄養素を補い、肝性脳症を伴う慢性肝不全患者の栄養状態を改善するために使用されています。

まとめ

今回は「処方できる栄養剤」について解説しました。

薬局によっては常に在庫しているものではない為、処方後に取り寄せとなる事もあります。

  • 食事量が減ってきた
  • 市販の栄養剤だと高くて負担が大きい

など、お気軽にご相談下さい。

また、市販品で栄養剤をお探しの方については、以下液体タイプと粉末タイプをご紹介いたします。介護食としても利用されています。

液体:明治 メイバランス Mini アソートBOX
粉末:スマート完全栄養食GALLEIDO SMART FOOD

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