開業準備のプロセスは膨大で多岐にわたります。
今回は、開業にまつわる様々な疑問について、プロセスのポイントや時期などを解説していきます。また工事が始まったのでご案内です。
訪問診療クリニックの開業を検討されている先生方、またクリニックがどうやってはじまるのか気になる方にぜひ見ていただきたい内容です。
あまり知られることのないクリニック開業準備のおはなしです。
内装施工-訪問診療クリニックの開業準備
まずは開業の流れからご説明します。
- どんなクリニックにしたいか(コンセプト)
- 開業候補地の選定
- 事業計画の作成
- 開業地の決定
- 銀行などの手続き
- 内装設計
- 施工
- 医療機器の選定
- 家具・備品の調達
- 広報
- 医薬品の手配
- 行政手続き
- 内覧会の開催
- 開業
おおまかにこのような流れです。現在施工まできています。
台東区のように東京の比較的中心部の場合
- テナントを借りる
- 40坪から60坪程度の広さで開業する
- 内装工事をする
というパターンを想定すると、物件が決まってから開業までに5〜6ヶ月程度かかることになります。
物件決定後はスピード感が大事
物件選定後から開業準備期間5~6ヶ月が目安です。
まず、スケルトン(壁のないテナントなど)から開業する場合、建設をする作業に全体の中で最も時間がかかります。
その他の準備(設備購入、雇用、マーケティングなど)は、工事と同時進行で行われることが多いです。
つまり、5〜6ヶ月という準備期間は、開業の仕方によって変わってくるのです。
例えば、戸建住宅で開業する場合は工事期間が長くなりますが、訪問診療専門のクリニックや空きビル(内装工事が済んでいる物件)で開業する場合は内装工事がほとんど不要で、物件が決まってから2~3カ月で開業できます。
次に、家賃は物件契約後に請求されることが多いので、この時期からはやめに進める必要があります。逆に言えば、物件が決まるまでの期間は関係なく、長い場合は2年かけてゆっくり開業地を決める先生もいらっしゃいます。
訪問診療クリニックの開業は経験を積んでからがよい?
若いうちに開業した方が良いのでしょうか。
訪問診療においては、若いうちに開業した方が良いでしょう。理由としては、以下のような例が挙げられます。
- 金融機関等からの融資を受けやすい
- 事業や生活を保障するための生命保険に加入できる条件
- 長時間労働や往診に対応できる体力がある
- 新しいシステムやサービスが出てきたときの適応
「患者さんの不利益にならないために」というところが大前提です。
50代、60代での訪問診療クリニックの開業を見事に乗り切った先生も多いのですが、体力については確かにそう感じる先生もいらっしゃるようです。
訪問診療の経験を積んでから始めた方が良い?
経験を積んでから始めた方が良いでしょう。
経験の浅い先生が一人で開業するのは不安なものです。大きな病院であれば、より専門的な医療技術を学ぶことができる環境があります。
診療所での単調な医療では症例が少ない、病院や診療所との人脈がない、同業者など、開業や経営について相談できる身近な人が少ない。
周囲の患者さんや開業医からどう見られているか(「まだ若い」と言われるかどうか)。
以上のように、様々な要因があるため、「何歳まで」と具体的に言うことはできません。それらを考慮した結果、30代後半から40代前半での開業を選択される方が多いのではないかと思います。
当院のスタッフは全員30代で、訪問診療クリニックのキャリアがあります。
クリニックの理念・コンセプトは大事?
ここでは、各ステップにおける留意点と所要時間について説明します。最初のステップは、診察の理念とコンセプトを決めることです。
いつ行うか
これは、開業準備の最初の段階で行います。その後の選択に影響を与えるからです。
いつまでに行うか
前述のように、物件を決めるまでに時間をかけることができるので、特に時期は決まっていません。
また、意識して行うというよりは、日々の業務の中で様々な思いを感じながら、すでに理念やコンセプトを完成させている先生も多くいらっしゃいます。
留意すべき点
理念・コンセプトは、自己満足で終わるのではなく、「患者さん・人に見てもらうもの」であることを意識するとよいでしょう。
理念やコンセプトが、患者さんへの理解・共感に繋がり、ミスマッチなくスタッフに勤務してもらうための重要な要素です。
そのため、想いが詰まった長い文章を書くことも大切ですが、人の印象に残るシンプルな言葉でまとめることが必要です。