台東区で訪問診療を行っている「まるクリニック」です。今回は訪問診療医の役割について書いていきます。
機能的な在宅医療制度が整い、自宅で行われる医療ケアの割合が増加しています。ここ数十年は、医師が在宅のケアに直接関与することはほとんどありませんでした。
しかし、患者さんの希望や医療システムの大きな変化、医療資源の少なさなどにより、現在では在宅訪問診療の必要性が高まっています。
医師が訪問診療を効果的に行うためには、基本的で明確な姿勢、知識、スキルに加えて、かかわる事業所とのスムーズな連携が必須です。
ケアマネージャー・訪問看護・薬局・通所介護・セラピストなど、患者さんの健康状態と家庭環境を評価するための枠組みを協力して整えていかなければなりません。
テレビ電話や訪問看護への依頼にて直接の往診を補完し、自宅療養の患者さんのフォローに様々な形で介入する事が可能です。
プライマリケアとは
プライマリケアとは、患者さんの心身の健康を総合的に診ることであり、その役割は、初期段階での健康状態の把握、一時的な救急医療、日常的な病気や軽い怪我の治療、訪問診療のほか、大きな病院の専門医に紹介することなどです。
外来診療の場合、家庭での生活の様子の把握が難しいため、訪問診療医が外来と自宅療養の患者さんの中間にいるようなイメージです。
ですが、訪問診療はまだ認知度が低い状態です。その原因は、訪問診療に対する医師の不足、時間的制約、技術的支援の不足、訪問診療の情報の不足など、多くの偶然の要因の結果であると思われます。
台東区や荒川区などにおいても、診療環境、高齢の患者さんへのターミナルケアの必要性は、訪問診療や往診の頻度が高いこと考えられます。
訪問診療の意義
ADLの低下・高血圧などの生活習慣病などの問題は、外来診療から得られる情報に基づいてわかることが多いものです。
ADL低下に伴う転倒を防ぐためには、高齢者の家庭環境を整えるなど、家庭をベースとした訪問診療の介入もまた、健康上の利点をもたらしています。
訪問診療を行うクリニックは、身体的な患者ケアの向上につながるだけでなく、地域での役割についても具体的な指導を行う必要があります。
在宅医療サービスの紹介
訪問診療医は、在宅で提供できる幅広いサービスの許可や指導をする義務があります。
自宅でできる医療・介護サービスには、訪問看護、ホームヘルパーによる支援、理学療法、作業療法、言語療法などがあります。
その他、レスパイトケア、福祉用具、通所介護などの介護支援サービスへ繋ぐことも必要です。
また、訪問診療医はケアマネージャー・ソーシャルワーカーとの連携も多く、在宅でのサービスをコーディネートする上で貴重な存在です。
このように、在宅ケアサービスの効果的な指示や利用は、訪問診療医にとって核となる業務のひとつだと考えます。
訪問診療の種類
訪問診療の主な種類は
- ADL低下による通院困難
- 急性疾患への介入
- 慢性疾患への介入
- 終末期医療
- 退院後のフォローアップ
- 在宅療養の管理指導
- お看取り
- ポリファーマシーの改善
- 社会的孤立のフォロー
このようなものがあげられます。
急性または慢性疾患において、複数の在宅医療機関や介護事業所と連携して、患者さんの評価とケアの提供を行います。
グリーフケア
終末期疾患を抱える在宅患者に対してケアを提供するためには、緩和ケア病棟との連携も行います。
訪問診療医や訪問看護は、在宅における患者さんの終末期・お看取り後に対して、貴重な医療的、精神的支援を提供することができます。
家族支援には、対処行動を評価し残された家族の医療的、心理社会的、環境的、経済的資源を評価することが含まれます。
ポリファーマシー
ポリファーマシーは、患者さんのコンプライアンス不良が疑われる場合や、医療資源を過剰に使用している場合に行われることが多いです。
複数の医学的問題のために多くの薬剤を服用している患者さん(ポリファーマシー)においては、訪問診療にて薬剤の使用状況を評価することができます。
認知障害などの慢性的な問題に対処しようとしている患者さんやご家族は、特にこの評価が有効です。また、社会的支援が難しい高齢患者さんの介護施設入所の必要性を評価する上でも、訪問診療は非常に有効です。
まとめ
在宅介護の多くの側面は、文章では評価が難しいものです。しかし、適切に焦点を当て、在宅医療の提供を強化し、患者さんの満足度を向上させ、医療介護と患者さんの関係を強化することは可能です。
入院患者の数が減り、入院期間が短くなるにつれて、在宅ケアの医学的な複雑さは増していきます。医師による訪問診療と、介護事業所の両方に対する需要も増えていくと考えられます。